毎日、帝国ホテルのロビーで
我々商品のデザインをする者たちの目標は 先ず感動を与える事 そしてそれが出来るだけ長く続くことである、いわゆる飽きが来ない商品と言う事になろうか。
しかしこれを実現するのはなかなか難しい、デザインは形だけのものではなく、機能もその要素に入るからである。
機能はどんどん古くなり 人間は基本的に飽きる動物である、従ってデザインにもやがて飽きが来る。
しかし中には例外がある、機能に左右されず本当に無駄がなく、美しいフォルムの物は普遍的で飽きが来ない、たとえばイームズチェアーやイタリア、ベガ社のテレビなどがそれである。
反対に絶対的機能から必然として生まれた形にはデザイナーなどには 有無を言わせぬほどのゆるぎない説得力がある。
私は最近その様な商品を手にした、それはゲゲゲの喜太郎の親父のような形をした小さなスピーカーである。
肝心のコーンは直径36ミリと極端に小さい、通常のスピーカーの高音を出すツィーターより遥かに小さい、これがなんと想像を絶するいい音を出す、さすがに大音響とはいかないが、一人で聞くには充分である。
その上この喜太郎のおやじは、独特の設計思想で作られており 実にナチュラルな音が出る、ここまで来るとこの音の為に必然の形である、といわれれば喜太郎のオヤジにも納得する以外にない、
そのスピーカーは名前を「タイムドメイン」という。値段も18,000円と実に安いのである。
そのスピーカーで私は10年近く毎日聞いても、聞き飽きない曲を聴く、ささやかな感動のひと時である、このCDはまだごく一部の人しか知らないのだがこれは
大阪帝国ホテルのロビーで流す為に資生堂が企画したという意外なCDであるが、ロビーに漂うコーポレイトフレグランス「地中海を見下ろす丘に咲く6月の香り」という香水と共に「音と香りの空間演出」のために作られた曲である 作曲はダニエル・コビアルカというバイオリニストでる。
このCDは大阪帝国ホテルの売店にしか売っていないのだが
そもそもこのCDが売られていることすらほとんど誰も知らない、このCDを買うと かの「6月の香り」が染み込んだ栞が中に入っていて さながら家にいて帝国ホテルのロビーと同じ空間を共有できるという趣向である。
ただしその時は目を閉じてお聴きに為る事をお勧めする。